どうもどうも、くすり指を骨折してギプス中の赤槻です。
右手だけのタイピングも慣れてきたけど、やっぱり面倒くさい。早く治らないかなぁ・・・。
なにがきっかけだったか・・・。たぶん、再放送のプリキュア5を見たのがきっかけだったと思うんですが、今年4月の頭からプリキュアに興味を持ち始めて、GW前に「映画プリキュアオールスターズ~みらいのともだち~」を見たのが決定打だったと思うのですが。はい、はまりました。
というわけで、今回はハートキャッチについての感想を書こうかと思います。
どうせ、手の怪我で長く書くことはできないので、手短に。
プリキュアシリーズの中でもっとも興行成績のよかったハートキャッチですが、なにがそんなに良かったのか考えてみようと思います。
1.テーマ
まず、ハートキャッチのテーマは「花」と「心」。
花というのは、プリキュアのテーマとしては非常に適切であり、女児の目にも魅力的に映ることだろう。プリキュアのデザインに関しても、花をモチーフにしている。デザインをしたのは馬越嘉彦であり、日朝でこの人といえば「おジャ魔女どれみ」シリーズということは誰の目から見ても明らかである。そして、この2作品のデザインを比べてみると、驚くほどに似ている。花びらをイメージしたスカートなんかは完全に一致している。そもそも、プリキュアシリーズは「おジャ魔女」のヒットに影響を受けているところがあるのだが、一度流行したものを10年後にもう一度やるというのはある種の戦略だったのかもしれない。
しかしながら、モチーフの本質はそこではない。「花」と「心」。これは一見まったく別のもののように思えるがこの作品では同一のものになっている。なぜなら、「こころの花」という言葉が多用され、「花」は人間の「心」が具現化したものとして描かれるからである。企画の段階で、「花」というモチーフを概念的な人の心にうまく落とし込み、脚本に組み込んで行った発想がこの作品の大きな勝因である。きれいな愛すべき対象である花、それが心と同一であるならば、教育的なアニメとして保護者にも受け入れられやすい。
2.誰が作っても同じ
もうひとつ、すばらしいのは敵の設定である。今作品の敵は他のプリキュアシリーズのように、「物」が怪物にかわるのではない。「人間の弱い心」がデザトリアンと呼ばれる怪物になって、それをプリキュアが打ち砕く設定になっている。このような設定であることにより、毎回、デザトリアンにされるキャラクターの心情描写を必ず組み込まなくてはいけなくなり、プリキュア達も物理的に彼らを救うと同時に、心理的に彼らを救うことになる。そして、倒せなければ一生封印されたままになっていまうため、より「助けたい」という感情が表にでてくることになる。このような、設定をすることにより、誰が作っても似たようなストーリー展開になるのである。ガイドラインが示されていることにより、脚本は書きやすいだろうし、
その上でさらなる工夫を凝らす余裕が出てくるのではないか。単純に、縛られることでマンネリ化するわけではなく、他の要素を凝縮して組み込めるのではないか。
3.子供になぜうけるの?
正直、「子供になぜうけるのか」ということを考えてもわからない。まず、自分が子供のころ見てた作品も、なぜ当時面白かったのか思い出せないし、そもそも、私に女児だった時代はないのであくまで予想になってしまう。そもそも、プリキュアシリーズがここまでの人気になったのは、なぜか。「女の子だって思いっきり暴れたい」の理念に基づいて製作されている本シリーズであるからして、作品のメインはバトルシーンである。ハートキャッチは敵を「倒す」のではなく「癒す」作品であるが、バトルのかっこよさは並ではない。しかし、初代のかっこよさに比べると本質的に違うのは、格闘というよりかは、変身シーンや必殺技のかっこよさである。変身の時にはココロパフュームをシュッシュしながら、グルグルグルグル回転するし、必殺時のタクトも魔法のステッキのようでありながら、構え方や使用方法なども斬新で非常に興味をそそる。そういった、バンクでのかっこよさがひとつ人気の理由ではないだろうか。また、キャラクターがかわいらしいデザインであるというのもひとつ、重要ではないだろうか。プリキュアシリーズのキャラクターは皆可愛いのは確かなのだが、他のシリーズに比べるとデフォルメが激しくいかにも女の子受けしそうな印象である。女児は単純にピンクが好きなように、単純にデフォルメされたキャラクタや妖精等に惹かれたのではないだろうか。
4.ブロッサムとマリン
このシリーズの特徴・・・否、見所といってもいい。それは、「花咲つぼみ」と「来海えりか」の仲のよさであろう。プリキュア5とフレッシュでは崩れていたが、ここにきて「ふたりはプリキュア」が戻ってきたと考えられる。「ブラック」「ブルーム」「ブロッサム」と、みんな「ブ」で始まるのは、後の「メロディ」のことを考えると偶然だったようだ。しっかり者のつぼみと駄目っ子なえりか、引っ込み思案なつぼみと積極的なえりか、というお互いに相反する性格を持った二人が互いを支えあい人々を救って行く姿は微笑ましい。ハートキャッチの話題で特に指摘されるのは、大友からのえりか人気である。自分は断然、つぼみ派なのであるが、えりかの小動物的マイペースさは確かに大人からみたら、かわいらしいかもしれない。だが、子供からしてみれば、うっとおしいクラスメイトと感じてしまうのではないだろうか。マリンは変顔が多く、大友に対するネタ担当的なポジションが見え隠れしている。数々の変顔に加え「きっちゃったかなぁ・・・あたしの時代・・・」「やるっしゅ!」「これがあたし達のやり方よ!」等。まぁつぼみも、お尻パンチとか「桑名の焼きはまぐりです!」とかあるが、普段から連発するのはえりかである。
5.プリキュアのレパートリー
大友にとって衝撃的だったのは、やはりキュアフラワーとキュアムーンライトの存在だろう。中学生じゃなくてもプリキュアになれるんだ・・・。唯一、プリキュアがうけつがれていることになっているのは、ハートキャッチだけである。伝説の戦士と呼ばれているからには先代がいてもまったく不思議ではないのだが、今までは触れられてこなかった部分である。そもそも、第二話での衝撃発言以来まさか女の子は誰だってプリキュアになれるっていったって、おばあちゃんはなれないだろうと思っていたが、まさかの最終決戦目前で変身するとは。子供にとってはなんでもない回かもしれないが、大友にとってはとても記憶に残る話であろう。このような、衝撃展開・ネタの仕込みは東映にとってはお得意なものであり、プリキュアシリーズが大友からの支持をういけているのも初代のころからこれに起因するところがある。
6.宇宙
これも、ネタ要素といってしまえばそれまでだが、わりと子供たちにとっても重要な部分ではないかと思う。それは、合体必殺技である。プリキュア5になってからは特に、戦隊物に近い必殺技が増えてきている気がする。そもそもカラーリングも戦隊物っぽい。とくにハートキャッチでは「ハートキャッチオーケストラ」という真の意味での合体技がある。これは女児の目にはどう映っていたのだろうか。まさしく戦隊物でロボットが合体するのを髣髴させるこの技は、斬新できっと盛り上がったに違いない。そして、最終的には無限プリキュアとして宇宙にまで行ってしまう。このスケールの大きさは、バトルに力を入れた最終章を象徴するものである。
さまざまな場所に、こだわりを見せるハートキャッチ。ユリさんが作中、困る顔をすることはあれど決して笑わないことなど、本当にスタッフが設定を遵守し、バトルでは思いっきり動かし。教育的な側面も持っている。ここまで完成された女児向けアニメ作品はこのほかにないであろう。
今週から、tvkでハートキャッチプリキュアの再放送が始まったので、まだ見ていない人はぜひ、視聴してみるといい。とくに、20代男子は、対象年齢なのではまること請け合いだ。
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